叱り言葉の基礎・鉄則
達人の会話術

シチュエーション・状況別の語彙力があってこそ成り立つ会話術

「人を叱る」 −間違いを指摘して行動改善を要求する−

自分のために叱る○。相手のために叱る×

誰かを叱る行為は、褒める事と比較して数段疲れます。
褒められる事を嬉しく感じるのと同様に、誰かを褒める事は基本的に気持ちが良いものですが、「叱る」となると全く状況が変わります。
素直な感情を表に出せばよい「褒める」に対し、
「事実や相手の言い分の確認」、「相手に配慮した上での言葉の選択」、「不満の表明」、「具体的な指示・命令」、「それに対する反応の確認」など、様々な要素を含む「叱る」という行為は、強く長い集中を要する行為です。

  • 「こんな事を言ったら嫌われないだろうか?」
  • 「相手のためを思うからこその気持ちを汲んでくれるだろうか?」
  • 「反抗されたらどうしよう?」
  • 「その後険悪な関係にならないか?」

叱る側の心の中には上記のような感情が渦巻きます。
それらの感情を押しのけ、相手のためを思って行った指導(叱る)に対する反応が、期待に反するものであった場合、ガッカリして落ち込み、「二度と叱らない」と心に決めてしまう人が数多く現れる事になります。

物事の善悪判断が未だ確定していない子供に対する強力な武器には、「叱る」「罰」「怒る」「強制」「体罰」などが挙げられます。
この強力な武器を自ら手放してしまったら、ひどく回りくどく即効性がない指導しかできない事になります。
子供の 「より良い人生」 「苦労しない人生」を目的に行う教育ですが、その中でタイミング良く叱られないと、幸せを実現するためにはマイナス要因となる感覚を修正できないまま成長してしまいます。
そして、子供を叱るという事は本人のために行うものであると同時にそれを行う側の利益にも直結します。

幾つになっても子供は子供であって、気に掛けざるを得ない存在です。
働かなかったり、必要な社会性を身に付けさせずに成長させてしまったの子供を心配し続けないといけない生活は、金銭・心理面において非常に負担が大きくなります。

指導・教育(叱り)の現場では、「本人のため」 「あなたの事を思って」などの言葉が頻繁に使用されますが、血縁という強力なモチベーションに支えられた親子間でさえ 「あなたのため」と思っていると諦めが生み出され易くなり、赤の他人同士が関係し合う会社であれば、それは一層顕著なものになります。

気に入らない点(業務姿勢・成績・言葉etc)を感じているのは感じている側です。それを指摘して改善させる事によるメリットの享受者は指導する側です。
「自分のために叱る」事で、叱る事への意欲の減退は少なくなります。

間をとってじっくり考えてから叱る事が求められる上司

「叱る」に関する基礎知識

 「叱る」と「怒る」は違う
解決・改善を目指して冷静に相手と向き合うのが「叱る」。一時の感情の爆発が「怒る」
 「叱り」のPDCA
普段からの観察結果を活かして叱り方を計画(プラン・P) → 断固とした姿勢で実行(ドゥ・D) → その後の行動や反応を検証(チェック・C) → 検証に基づいて新たな指導や評価を与える(アクション・A)
 叱られる側の代表的な反応
萎縮 : 声や姿勢が小さくなり、無抵抗を貫く事でその場を収めようとする
反抗 : 力には力で対抗しようとし、真正面から抵抗して言い分を展開
逃避 : ごまかしや嘘、言い訳を行い叱られている状況から逃げようとする
無  : 叱られる状況が終了するまで無表情、無反応を貫く
 アメとムチの使い分け
叱り続けても効果は薄く、叱る事柄に中に何かしらの褒める部分を見つけ出して硬軟使い分ける事、間を取る事で素直に聞く姿勢が作り出される
 叱る事実の確定、線引き、共有
何を叱るのかに関して相手との間に共有イメージができていないと感情のシコリだけを残すため、不満を感じている部分を分かり易く説明して納得させた上で叱る事が重要

しかり上手になる鉄則

  • 叱る目的や理由を明確にした上で叱る
  • 何を叱っているのかを明確に
  • 「罪を憎んで人を憎まず」
  • 一事を叱り、あれもこれもを持ちださない
  • 「それはそれ。これはこれ」で、気持ちの切り替えを意識的に行う
  • 直接叱って事実や感情面でのズレをなくす
  • 相手の性格を充分把握した上で叱る

直接的な言葉にして表すのではなく、「自分のためを思ってくれている」「自分を見てくれている・見守ってくれている」などを相手に認識させるための誠実な態度が何より大切な要素となります。

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