褒め言葉の基礎・鉄則
達人の会話術

シチュエーション・状況別の語彙力があってこそ成り立つ会話術

「人を褒める」 −言葉や態度によって他人を賞賛する

褒められたいのが人間

「褒める−褒められる」という行為の必要性や効果に関して今更疑いを持つ人は少ないのではないかと思います。
育児書や児童心理学書、部下育成書などを開けば必ず出くわすのが、『褒めて伸ばす』『叱るな。褒めろ』といった表現とその理由です。
それらは概ね以下の3段論法によって必要性や効果の説明がなされています。

  1. 褒められる事は存在を承認された事を意味する
  2. 自分の存在を有意義なものとして感じられる
  3. 自信を持って物事に取り組める 

それらの書籍によると、
「幾つになっても褒められたい(認められたい)欲求を持つのが人間であり、褒めてくれる人の事を大切な人として認識するのが人間」 としています。

説明や議論や説得、関係構築や関係継続など、会話術を駆使する事の目的やシーンは様々に違いますが、自分に対する良い感情(好意)を抱かせる事が会話術の目的であると極論できます。
好意を抱いてもらえばほとんどの対人関係上の問題が上手く運びます。

ホメ言葉の分類

相手の行為やその結果に対して賞賛の気持ちを表すのが一般的なホメ言葉ですが、広く相手の存在を認める言葉もホメ言葉とされています。

関心・興味
興味を示して相手の事を知ろうとする言葉。相手の存在に注目している事を示す言葉。「いつも元気ですね」「注目しています」
理解・同調
相手の意見や考えが理解できた事を示す。同意の念を示す。「おっしゃる意味が判りました」「同感です」
賞賛
相手の行為に驚きや感動を表す。出した結果の意義の大きさを称える。「すごいです」「貢献してくれましたね」
感謝
ありがとうの気持ちを表す。相手の行為のお礼の気持ちを表す。「本当に助かりました」「感謝感激です」

上から見下ろすホメ言葉

  • 「やりましたね」
  • 「すごいですね」
  • 「感動しました」
  • 「さすがですね」

他人を褒める言葉と言っても様々なものがあり、素直な賞賛の感情を表す上記の言葉も立派なホメ言葉となります。
しかし、他人を褒める行為には大きな危険が潜んでいます。
上記のような「感情の素直な表現」と受け取られるシンプルなものであれば良いのですが、本来褒める行為には目上の者が下の者に与えるご褒美といったニュアンスが含まれています。
また、投げ掛けられたホメ言葉を「賞賛」と受け取るのか、「嫌味」「小バカにされた」「お世辞」と受け取るかは相手次第の問題です。

大人が大人を褒める行為に対してどんな反応を示せばよいのかのひき出しを持ち合わせていない人が多い事も危険な要素として挙げられます。
相手や立場の違いを意識せぬままに「ホメ言葉本」に書いてある言葉を鵜呑みにして使用すると場が凍りつく事態を招きます。

ホメ上手になる鉄則

  • 何でも、誰でもいいから褒めれば良いわけではない
  • 短所を見つけて裏返しに表現すれば長所
  • 声のトーンや表情に実感を込める
  • 結果に至ったプロセスを褒める
  • 具体的な理由を付け足して褒める
  • 間接的に褒める
  • 言葉の裏を疑われ難いタイミング(その場、その瞬間)で褒める

何よりも大切な要素は、他人を素直に認めて賞賛の気持ちを表す事を躊躇しない事とされています。

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