人間心理を突く「要求の業」
フットインザドア(FOOT IN THE DOOR/多段階要求法)
- 次第に大きな要求を行う
- 1つ1つは小さな要求でも結果的に大きな要求を通す
- 小さな事実を積み重ねる
- 「話を聞くだけでいいですから」「ほんの少しだけお時間を・・」
- ドア(家・心)の中にとりあえずは入れらせてもらう
- 一貫性を求める人間心理を突く
- 一旦YESと答えたものを覆す事への抵抗感を突く
- 「とりあえずランチを一緒に」「まずはメールアドレスを教えて」「ちょっとだけ話していい?」
ドアの隙間に足を滑り込ませて閉められないようにし、まずは話を聞いてもらう事から始めて次第に大きな要求を繰り出すといったものです。
そうとは気付いていないかもしれませんが、誰もが日常的に実行しているテクニックです。
このテクニックを如何なく発揮しているとされるキャッチセールスの場合は、相手の事務所(テリトリー)に連れていかれる事によってもたらされる不安感が普段の判断基準を揺さぶり、通常なら結ばない類の契約を結んでしまうとされています。
ドアインザフェイス(DOOR IN THE FACE/過大要求法)
- まずは受け入れられそうにもない大きな要求を行う(真剣な顔で)
- 断わられる事は織り込み済みで本命の要求を持ち出す
- 「そーですかダメですか。ではこれならどうでしょう?」
- 何度も断る事による罪悪感(本来は感じなくてもいいはずの感情)を利用
- 他人にいい顔をしたい気持ちを利用
- 「付き合うのがダメなら友達から・・」「じゃあキスだけでもいいから・・」
「ダメで元々」精神で大きな要求を行い、断られたところで本命の要求や少し小さくした要求を繰り出すといったものです。
了承も得ていないのに顔をドアの中に突っ込み、いきなり要求を突きつけるといった手法です。
これもフットインザドア同様に日常的に行われているものです。
個人的にはよく活用するもので、私生活と仕事の両面でそれなりの効果を実感する事ができました。
買ってくれるはずもない台数や値段を口にして序々に小さな要求に下げていき、結果的に思惑よりも大きな要求が通った事が何度もあります。
最初の大きな要求を大真面目に行う事がミソだと思います。
歩行者に献血を依頼すると、およそ3割の人が応じてくれる状況にあったアメリカのある都市で行われた心理実験では、
「今後2年に渡って数ヶ月おきに献血して欲しい」と依頼を行い、断られたところで、「それでは今回だけでもいいのでお願いします」と言うようにしました。
すると、約半数の方が応じてくれたと報告されています。
交渉開始ポイントを自分が設定
金額や数量、付帯するサービス、どちらがやるのか、いつまでにやるのか・・・などを明確にした上で交渉を開始する事が交渉術の基本です。
この交渉を始めるポイントの設定如何によって交渉の出来不出来が大きく左右されます。
この「交渉のたたき台」とも言えるポイントを自分が勝手に設定できるのが「要求」や「申し出」です。
その要求や申し出の代表的なテクニックが上記の2つです。
注意
- どちらかというと初めて会う相手に対して活用されるテクニック
- 知識・経験としてよく知っている人が多いため、あまり乱用すると「バカにされている」「騙そうとしている」といった感情を抱かせることになる
- 交渉自体を楽しんで、「ダメで元々」な意識がないと上手くいかない
まとめ
他人を騙す事をどこかに連想させるものですが、粗悪品を売りつけたり嘘の発言をするのでなければ立派は交渉の業です。
他人に対して何かを要求する事は少し憚られるものですが、それでも要求をしないと交渉が進んでいきません。
特に仕事の場では図々しく要求する技術が大切です。
フットインザドアやドアインザフェイスを意識して活用する事は、他人に対して何の臆面もなく要求する習慣をもたらしてくれる業だと思います。
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